メダカの秘密大公開&メダカの上手な殖やしかた
かわいいエビ&変わりメダカ展真っ最中の小さな大自然の店です。
すでに、半月が経過し、多くの方々が、特に珍しいシュリンプ類には
注目してくださっていますが、今ひとつ、驚きや親しみや人気に
恵まれないのが、勢揃いしている、たくさんのメダカたちです。
メダカ、といえば、学校教材、またペットとしても身近な存在ですが、
100以上もの色や形の変異型が、観賞魚として普及しはじめて
いることは、まだ、あまり知られていません。きょうは、この、
知られざるメダカの秘密について、ご紹介してみたいと思います。
まず、上の写真は、琥珀光メダカ(別称:コハクホタル)です。
ヒカリ(あるいはホタル)メダカとは、最近急に広がった呼び名なの
ですが、ふつうのメダカ、たとえば、下に示す、江戸時代から飼われて
いるヒメダカと比べて、体のどこの部分が、違うのでしょうか。
上のヒカリメダカでは、背中が光っているのがわかりますが、もう一つ、
とても大事な違いにお気づきでしょうか。この、ヒカリメダカ、背中に
生えているヒレが、ふつうのメダカの小さな背びれとは違いますね。
敏感な方は気づいたかもしれませんが、実は、遺伝子の突然変異で
出現したヒカリメダカとは、おなか側の特徴が、背中側にも転写されて
現れてしまう特徴があるのです。なので、背中側にも、おなか側と同じ
シリビレが、生えています。また、もともと、ほとんどの魚たち共通の
特徴は、体のおなか側が銀色に光ることですが、この光るグアニン色素
が、背中側にも、転写されて、背中が銀色に光っています。おなか側が
銀色をしている理由は、そもそも、大切な内臓を紫外線から守ると同時に、
下から肉食魚に狙われたときに、水面の光り輝きに紛れて逃げやすい
効果も生んでいるとされています。光とかホタルとか呼ぶ背中の銀色は、
もともと、おなか側に集合して出て、身を守る色素だったわけです。
白、茶、オレンジ、赤、その他様々な色彩変異と、この腹面転写遺伝子を
組み合わせることで、色とりどりのヒカリメダカが作出され、現在では
観賞魚として流通するようになっているのです。腹面転写遺伝子は、
メダカ以外でも発見されることがあり、熱帯魚としておなじみのベタ
では、ダブルテール系として、メダカと同様、観賞用品種となって、
普及している例として知られています。
さて、もう一つ、人気の変わりメダカに、「ダルマメダカ」があります。
これも遺伝子突然変異で発見されたものですが、卵発生の後期に、メダカ
では本来26〜27本ある脊椎骨の内、いくつかが、癒合してしまうもの
です。ふつう、脊椎が27あれば、成長に伴い、27個の脊椎も少しずつ
成長して、体の長さも大きくなるはずですが、成長する箇所が、癒合に
よって、14カ所とか、17カ所とかに減少してしまっているために、
上下方向に比べて、どうしても、前後方向の伸びが少なく、結果として、
丸い体型のおとなのメダカになってしまうものです。形と、愛嬌のある
泳ぎ方で、最近では、ダルマメダカは観賞魚として人気急上昇しています。
今回写真紹介した、体型の変化に加えて、代表的なものだけでも20を
超える様々な色彩変異が組み合わさって、様々な色、形のメダカが流通
するようになりました。
もともと、これら各種の突然変異は、遺伝の研究などに用いられるために、
大学や国の研究機関に集められ、厳重に管理されてきたもので、ほとんどが、
特に観賞魚として改良されてきたものではありません。今から20年前に
なって、はじめは広島大学から、研究用だった変わりメダカが、教育用
として民間に配布されたのが始まりで、以後、業者や観賞魚の趣味家にも
広がったものです。今では、出目や、青い閃光のような輝きを持つミユキ
など、民間で発見された変異も加わり、観賞魚として屈指の品種数が
生み出されるようになってきました。
さて、最後の写真は、メダカの産卵です。オスは大きなヒレでメスを抱き
包み、メスが、その、オスのシリビレを産み床のベッドのようにして、
卵を産み出しているところです。
メダカは、日長が12時間半を越える季節になると成熟を始め、3週間後に
産卵が開始されます。メダカを繁殖したい場合は、蛍光灯照明を、少し
長めにして、毎日規則的に点灯、消灯時間を守っていると、3週間で、
産卵が開始されます。せっかくですから、水槽に、卵を産み付けるための
水草を多めに入れて、繁殖させて楽しむのが、稚魚育成も比較的簡単な
メダカの楽しみ方として、おすすめです。
メダカのことも、小さな大自然の店に来て、実物をたくさん見て、気軽に
聞いてみてくださいね。
投稿者:熱帯魚 水草 帯広 環境ホタル塾 ブログ | 投稿日:2010-03-04 00:15:31