開店以来水換え作業なし&底面濾過のヒミツ
写真は、2009年9月開店当初の、今残る貴重な(?)店内水槽写真です。
小さな大自然の店では、開店以来、水槽の水換えや水底の清掃作業は行って
いません。平均すると、2週間に1回程度の頻度で、各水槽の内壁を軽く
こする程度の管理をしていますが、ご来店の皆さまはご存じのとおり、
付着ゴケで悩まされているような水槽は一つもありません。またたくさんの
水槽で水草が元気に茂っているのに、CO2供給などの特別な機材も使って
いません。なぜ、水槽がほとんど世話もしないのに、うまく環境維持されて
いるのでしょう?きょうは、私たちが得意とするブルカミアや富源粒などの
底床濾材で、パフォーマンスを最大限に発揮するための、大事な設備、底面
濾過のしくみと、通水方法など、水換え不要を実現するためのヒミツに
迫ってみましょう。
この図は、私たちが使っている水槽の仕組みを簡単に図化したものです。
底面濾過板、水中ポンプと、底床濾材の3つだけの、とても簡単な設備です。
飼う生きものによって、オートヒーターを入れたり、また水草育成のための
専用照明器具をつけるかつけないか、などの違いはありますが、すべての水槽は、
濾過についてはまったく同じ仕組みを使っています。従来、よく取り付けられ
ていた、各種の濾過装置を水槽とは別につけることはありません。また、水質
調整のための添加物も一切使いません。水は、水道水を使っています。新しい
水をすぐに使う場合には、塩素中和剤(カルキ抜き)だけを使います。また、
濾材を新規にセットするときには、1回だけ、バクターDD(ブルカミアから
分離培養した濾過バクテリア群、12cc380円)を入れるだけです。これは、
新しい濾材は、新築マンションのように空き家の状態だからです。普段は、
蒸発した水を足すだけなので、カルキ抜きも使いません。
従来、熱帯魚ショップと言えば、様々な濾過器、水質安定剤、そして濾過器に
使うワタやセラミック製などの交換濾材、汚れ吸着用活性炭などなど、あらゆる
製品を売っていました。私たちの店ではこれらの製品を一切取り扱わず、自分
たちでも使いません。なるべくシンプルな設備で、手間がかからないことが、
一番大切だと考えています。
この写真は、私たちがよく使っている底面濾過板です。濾過板といっても、
実際の微生物浄化は、ブルカミアなどの底床濾材が行いますので、役割は
水を通すだけで、プラスチック製の、単に細かいスリット穴が空いただけの
スノコ板です。写真の製品では、角に近い場所に穴をあけて、専用のプラグを
ひねり込んで、そこに水中ポンプを取り付けるだけで、作業は完了。この板は
何枚でも縦横につなげられるパズルカーペットのようになっているので、水槽の
いちばん底全面にぴったりと広く敷くようにして、使います。
30年以上前、他の濾過器の発売や普及に伴って、底面濾過の仕組みは
嫌われ、ほとんど使われない時代が長くありました。当時水槽に使われていた
のはほとんどが砂利で、底面濾過を行っても水の微生物浄化はわずかしか
行われず、しょっちゅう水底掃除が必要だったので、底面濾過=いちばん
世話の手間がかかる仕組みと考えられたのです。
ところが、現在のように、特殊な土でできた良い底床濾材ができて、あらゆる
種類の微生物を定着、繁殖させることができるようになってみると、自然界
の土壌による環境浄化と同じ仕組みが、水底で実現できるようになり、これまで
開発されてきた各種濾過機器が、必要なくなってしまったのです。
最近になって、私たちの活動が実って(?)底面濾過がかなり見直される
ようになってきました。ただし、現在各社がつくっている底面濾過板には
いろいろなものがあり、土でつくられた私たちの底床濾材に合わないものも
あります。水をよく通して、濾材の粒を通さないようにするには、スリット
幅は、1.5mmが最適な幅です。私たちの店では、この条件に合う3社3機種の
底面濾過板を用意し、水槽の形や大きさに合わせて販売しています。スリット
穴がこれより広いと、底床濾材を底面板の裏側まで通してしまい、水は
濁り続けてしまいます。また、これより細かな穴だったり、底面濾過板の
上にマットを敷いたりすると、1年以上経過して底床濾材が古くなり始める
と、早く目詰まりしてしまい、使えなくなってしまいます。
これは、底面濾過の簡易図です。底面濾過板には細かいスリット穴が全面に
多数空いているので、水中ポンプで水を吸い上げると、空間になっている
底面濾過板の内部を通り道にして、水槽中の水が均一に集まって、水槽内に
戻っていくようになります。底床濾材のすべての粒に水が通り、何十万粒もの
濾過材内部に棲む200種以上の微生物が活動して、水がきれいになります。
もし、この図のように、濾過材の表面に凸凹ができ、浅い場所と深い場所が
できてしまうと、水は、濾過材の厚みが薄い部分に集中して通るようになり、
水槽の濾過分解力が著しく低下してしまいます。ポンプの後ろ側、水槽に
流木などを飾り付けている場合はそのすぐ脇など、濾過材が深く掘れ込んで
厚みに偏りができてないかを確認して、平らに管理するように注意してくだ
さい。ブルカミアを使ってみたけど水が濁る、魚が雑菌症のような症状で
ヒレをすぼめている、などの皆さんのおよそ8割以上が、このような表面の
起伏に気づかなかったことが原因です。
小さな大自然の店では、お手持ちの設備の種類にかかわらず、水槽がうまく
いかない、管理に手間がかかる、魚の具合が悪いなどの相談にお応えして
います。どうぞお気軽にお問い合わせください。
投稿者:熱帯魚 水草 帯広 環境ホタル塾 ブログ | 投稿日:2010-03-06 06:35:30 | コメント ( 1 )