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中川元財務相急死:「もうすぐオヤジの年」 絶頂期にいた中川氏の憂慮

 「そういえば、おれももうすぐオヤジの年になるなあ」。昨年12月、財務・金融担当相として絶頂期にいた中川昭一氏が、地元・帯広市の記者との懇談会でふと漏らした一言が記憶に残っている。
 自民党総裁予備選で敗れた父一郎元農相は、83年に自殺。中川氏はその父を意識していた。いつか父がなれなかった総理に−−。政治家人生は、志半ばで終わってしまった。
 私が帯広に赴任して間もない昨年春ごろのことだ。福田康夫政権で無役だった中川氏は私に「おう、毎日新聞」と声をかける気さくさがあった。それが、金融危機下で財務相に就任すると常にピリピリと緊張し、近づきにくい雰囲気を放つようになった。
 職務に没頭し、睡眠時間は1日3〜4時間と聞いた。きまじめな性格。繊細で重圧に弱いところがあったようだ。疲労がたまっていたのか、移動の車の中でぐったりしていた場面にも出くわした。
 今年2月の「もうろう会見」は、ストレスの解消手段として好んだ酒が災いした。アルコールが抜けきらないところに、風邪薬や持病の腰痛の薬を飲み過ぎたという。
 落選直後の会見。「お世話になった方に恩返しをしなくてはいけない」と国政復帰に意欲を見せていた。東京都の畜産関係の公益法人会長に就くことが決まり、今月13日から出勤するはずだった。
 しかし、すでに心も体もボロボロだったのだろう。挫折を乗り越え再び全力投球する中川氏を見てみたかった。今は「ゆっくり休んでください」と伝えたい。

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